実施理由/背景
富士山五合目にタンポポ?
富士山は古来から親しまれ、そして世界の宝として平成25年に世界文化遺産に登録されました。富士山を見てみたい!行ってみたい!と多くの観光客・登山者が世界中から訪れます。そのため、標高2304mの富士山五合目は毎年大変にぎわいます。山麓から五合目までは道路が整備されていて、本格的な登山じゃなくても、ちょっとした散策で長い年月をかけてできてきた富士山の独自で豊かな自然を体感することができます。
しかし、セイヨウタンポポがたくさん咲いています…。あの道端や空き地でよく見るタンポポがなぜこんなところに…?セイヨウタンポポは国外由来の外来種です。富士山の五合目でも外来種が侵入しているのです。そして、もっと観察するとバッコヤナギなど標高の低いところで生活している植物たちがたくさん侵入していることがわかりました!
彼らは悪者ではありません。でも、たくさん増えすぎると、高山で生育しているもともとの植物が少なくなったり、景観が大きく変わってしまったりしてしまいます。私たちは富士山の独自で豊かな自然を次世代に継承すべく、これら外来種の侵入の防止と駆除活動をはじめました。
プロジェクト内容説明
外来植物の侵入防止と駆除活動を推進します!
まず、侵入させないことが大事です。私たちが外来植物を持ち込んでいるかもしれない…そのことを知ってもらい、適切に対処するための看板を設置します。そして、靴や衣類に付着した種子を除去するマットとブラシを登山道に設置して、人による外来植物の持ち込みを抑制します。
次に、拡げないことが大切になります。いま侵入している外来植物は分布が拡大する可能性があります。そのため、分布拡大を抑制する駆除活動を展開すべく、中心となるボランティアを育成します。座学による講習と現地での見分け方、対処の仕方などの指導講習会を行います。場所は富士山の五合目と他山梨県内1箇所で実施します。
外来植物の侵入や繁茂に伴う問題は富士山だけではなく、様々な場所で起こっています。これら活動を通じて各地で外来植物を防除できる体制の整備を進めます。
目指すところ
富士山の独自で豊かな自然を次世代へ継承する
富士山の自然を大切にしながら、持続的な観光や登山が求められています。その一端として、私たちは富士山の外来種対策を進めます。そして富士山の自然を次世代へ継承することを目指します。
外来種に関する様々な問題は日本各地あるいは全世界的に発生しています。増えすぎると多大な費用と時間と労力がかかってしまいます。そのため、できるだけ早い段階から対処することが求められます。この取り組みを通じて、富士山への外来種の持ち込みを抑制していきます。
富士山は独特な自然を有する山です。また周辺にも青木ヶ原樹海に代表されるような溶岩流上に発達した独特な生態系が広がっています。子々孫々までこのような自然を残していきたいという思いを多くの方々と共有しながら、いまできる活動を実践していきたいです。
寄付の使い道
いただいた寄付は、富士山の豊かな自然を保全するために、1.外来植物の種子を除去するための防除マットの設置と普及啓発に向けた看板の設置、2.これらマットや看板の維持管理(台風や強風の際は安全確保のため、一時的に撤去することもある)、3.ボランティアを育成するための指導講習会に活用させていただきます。富士山での外来種に対する取組は、各種関係法令があることから個人での活動が困難な状況になっていますので、関係する自治体とボランティアなどとの協働で行います。
自治体からのメッセージ
ご支援いただく皆様へ
この度は、富士山の外来種防除プロジェクトにご興味を持っていただき、ありがとうございます。
富士山の世界文化遺産登録以降、登山者や観光客によるごみの放置に関する問題は一層注目されるようになりましたが、富士山を取り巻く外来植物の問題はこれまであまり注目されてきませんでした。このプロジェクトを通じて、富士山の独自で豊かな自然と保全するための活動にご理解いただき、暖かい支援をよろしくお願いいたします。
事業スケジュール
2021年4月~5月:外来植物種子を除去するマットの設置箇所及び外来植物除去の中心となるボランティアを育成するための指導講習会の実施場所の検討
2021年6月下旬~9月中旬:外来植物種子を除去するマットの設置
2021年5月上旬~9月上旬:外来植物除去の中心となるボランティアを育成するための指導講習会の実施