実施理由/背景
劣化がはげしい重要な文化財を、後世へ継承していくために
寛永17(1640)年以降、13代約230年にわたり、岡部家が岸和田藩をおさめました。『阿弥陀如来像坐像』は、岸和田藩主岡部家にゆかりのある木造の仏像です。岸和田藩主になる以前の岡部氏が、久安4(1148)年、岡部家の発祥の地とされている駿河国岡部郷(現、静岡県藤枝市)に館を構えた際に建立した菩提寺である万福寺の本尊であったと言われています。この仏像は、「大阪府有形文化財」の指定を受けており、岸和田市はもちろん、大阪府内においても重要な文化財となっています。
しかし、昭和15年に行った修理を最後に、長年修理が行われておらず、経年による剥落や本体の割れなどの劣化が進行し、痛々しい状態でした。
この仏像を、今後も適切に保存・管理し、よりよい状態で展示公開を行っていくために、劣化による損傷を早急に修理する必要がありました。あわせて、この仏像を多くの方に知っていただくため、今回クラウドファンディングを行うことにしました。
プロジェクト内容説明
岸和田藩主 岡部家ゆかりの木造『阿弥陀如来坐像』の修理
『阿弥陀如来坐像』の修理に向けた事前調査の結果、過去において幾度も修理を繰り返していたことが判明しました。この『阿弥陀如来坐像』が長きにわたり人々から大切にされ、繰り返し修理が行われてきたという歴史の重層性と、よりよい状態の仏像本体を後世に伝えるため、修理を実施。
今後も適切なかたちで継承していくために、修理は仏像の修理実績が豊富な専門業者に業務を委託し、仏像の修理箇所並びに修理方法を検討後、クリーニング・剥落止め・虫蝕処理・材質強化・漆工等を行っています。
岸和田市市制施行100周年記念事業の企画展へ向けて先行お披露目!
岸和田市は、令和4年11月1日に市制施行100周年を迎えます。それにともない、現在様々な企画を計画しているところです。その一環として、市制を敷く礎となった岸和田藩、岡部家にスポットを当てた企画展を開催する予定です。それに先立ち、修理後の『阿弥陀如来坐像』をお披露目いたします。
目指すところ
みなさまに愛される文化財へ
『阿弥陀如来坐像』は、岸和田市のシンボルである岸和田城天守閣の常設展における中心的な展示品です。それは、この仏像が、大阪府内においても重要な文化財であることはもちろん、岸和田市の礎ともいえる岸和田藩、その藩主でもあった岡部家に由来するものであるからです。しかし一方で、この仏像の認知度はあまり高くありません。市のシンボル的な存在として、市民だけでなく多くの方に広く認知されている岸和田城と違い、この『阿弥陀如来坐像』は、市民にもあまり知られていないのが現状です。劣化による損傷の修理を行い、岸和田城と同様にこの『阿弥陀如来坐像』を、岸和田市の財産としてよりよい状態で後世に継承、周知していきたいと考えています。
寄付の使い道
木造の仏像修理には、高い技術が求められており、長年にわたって各地で仏像の修理等に従事する公益財団法人美術院に修理を委託。本仏像の詳細な調査を行い、劣化を抑制する修理のために使わせていただきます。
自治体からのメッセージ
今回ご支援をお願いしております木造『阿弥陀如来坐像』は、岸和田市にゆかりのある岡部家と関係が深く、また大阪府の文化財指定も受けており非常に大切な文化財です。この貴重な文化財である『阿弥陀如来坐像』を、過去何度も修理が繰り返されたように、今回も適切な修理を行い、よりよいかたちで後世に継承していき、地域の方々と守っていきたいと考えています。
お礼品について
ご寄附いただいた方のお名前を仏像とともに保管します
ご寄附いただいた方ご自身に、専用の用紙にお名前をご記入いただき、修理した『阿弥陀如来坐像』とともに保管いたします。また、令和4年度開催予定の岸和田市市制施行100周年記念企画展の図録、修理工程動画(説明書付)も合わせてお送りします。
※図録のみ、図録・修理工程動画(説明書付)のみといったお礼の品もご用意しています(寄附金額によって選べる品が異なります)。
※お礼の品の発送は、令和4(2022)年11月以降を予定しておりますので、あらかじめご了承ください。
事業スケジュール
2021年6月:修理開始
2022年1月末日:修理完成
2022年2月:お披露目
詳細な調査を実施後、クリーニング・剥落止め・虫蝕処理・材質強化・漆工等を行います。剥落止めを中心としたできる限り大幅に手を加えない修理を実施します。