実施理由/背景
石炭産業全盛期から地域の人々と多くの芸能人に愛され続けた劇場に、再び賑わいを取り戻すために
嘉穂劇場は、福岡県の中央に位置する飯塚市にある江戸時代の歌舞伎様式を伝える木造の芝居小屋です。1922年に当時栄えた炭鉱で働く人々の娯楽施設として前身となる中座劇場がオープンし、その後火災による消失や台風による倒壊がありましたが1931年に現在の嘉穂劇場として再建されました。舞台には今も人力で動かす「廻り舞台」や「迫り(セリ)」を備え、日本の伝統的な観客席である畳敷きの「桝席」、「浅敷席」は最大で1,200名を収容することができ、2本の花道を有する大型の劇場です。2003年7月に福岡県北部豪雨によって1階の内部が水没し壊滅的な被害を受けるなど、これまで幾度となく大きな試練に見舞われてきましたが、芸能関係者や一般市民からの大きな支援・協力によって苦難を乗り越えてきました。しかし、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の影響による経営難から、2021年に劇場の運営をしていたNPO法人が解散し、施設は休館、飯塚市へ贈与されることとなりました。木造建築である施設の老朽化対応の必要もあり、再開に向けた改修工事や機器入れ替えには多額の費用が必要となっています。
プロジェクト内容説明
興行の継続、文化芸術の発信をこれからも
嘉穂劇場は、明治以降の日本の近代化を支えた石炭産業全盛期の1931年に、坑夫やその家族また周辺に住む農民たちの新しい娯楽の場として建設されました。その時代は、人々の嗜好が多様化した時代で、歌舞伎や新劇、喜劇、舞踊など様々な演目が行われ、大変にぎわっていました。その後、映画専門館やテレビの登場によって、全国の芝居小屋は徐々に姿を消していきましたが、嘉穂劇場は90年もの歴史の中で時代の変化を受けつつも、芝居小屋としての形を変えることなく今日まで営業を続けてきた劇場です。このように途切れることなく運営されてきた芝居小屋は全国にも例がありません。かつて、著名な歌舞伎役者だけでなく、美空ひばりや山口百恵、そして力道山までもが嘉穂劇場の舞台に立ってきました。劇場は当時のままの桝席や桟敷席が残され、舞台機構もほとんどが手動です。これまで多くの方々から早期の再開を望む声が寄せられていますが、この貴重な財産を残しながらさらに魅力ある劇場として再開するためには、施設の安全対策、老朽化対策を最優先して取り組む必要があり、改修工事に数億円規模の費用が見込まれ、再開までの工事期間も数年に及ぶことが想定されています。
目指すところ
再開を待ち望む人々の想いにこたえ、再び舞台の幕を開けるために
大衆演劇や歌謡ショーのほか、ロック・ポップスのミュージシャンによるライブ公演、また吹奏楽をはじめとする学校部活動の発表会や地域イベント、さらには結婚式や婚活パーティーが行われるなど地域内外を問わず多くの方に愛され、支えられてきた嘉穂劇場。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によりこれまで行われてきたイベントの多くは中止となり、劇場は一時休館せざるを得ない状況となりました。しかしながら、一方で、生活に様々な制約が求められるコロナ禍にあって、人々に心の安らぎや明日への希望を与えてくれるものは文化や芸術であることも、改めて確認することができました。劇場を愛してくれた人々の想いにこたえ、なるべく早く劇場を再開させ、この嘉穂劇場でしか味わうことのできない様々な形の文化芸術の発信を目指していきたいと思っています。本プロジェクトを通して、全国の皆様からの支援を募るとともに、嘉穂劇場を知っていただくきっかけとなり劇場の再開後、皆様に足を運んでいただける日が来ることを夢見ています。
寄付の使い道
プロジェクトで集めた寄附については、嘉穂劇場の再開・活用に向けた事業にすべて使用させていただきます。
自治体からのメッセージ
ご支援いただく皆様へ
この度は嘉穂劇場に関心を寄せていただきましてありがとうございます。嘉穂劇場は現在施設の老朽化により一時休館をしておりますが、新たなエンターテインメント機能を持たせた施設として生まれ変わるよう準備を進めているところです。本プロジェクトを通して全国の皆様に嘉穂劇場を知っていただき、劇場が再開したあかつきにはぜひ皆様に足を運んでいただければと思っております。どうか皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。
事業スケジュール
令和3年度:新たな嘉穂劇場の姿を協議、検討するため有識者からなる活用検討委員会を設置
~令和4年度:活用検討委員会から答申提出
令和4年度~:耐震調査及び老朽化調査開始
令和6年度~:耐震調査等の結果を基に耐震工事や補修工事を実施予定