実施理由/背景
大人に障害がある、ひとり親や共働き家庭など、ヤングケアラーの家庭環境はさまざま
ヤングケアラーは、家族の代わりに家事や幼いきょうだいの世話、障害のある家族の身の回りの世話など、家庭環境により、ケアの状況は多岐に渡ります。子どもが家族の世話をすること自体は尊いことですが、本来大人が担うような責任の思いケアを引き受けることで、自分の時間を持つことができず、日常生活に支障が出るだけでなく、自分自身の夢を諦めざるを得ない状況に陥ることもあります。
昨年、全国で初めて、山梨県が全ての小学校6年生から高校3年生を対象として実施した実態調査では、ヤングケアラーに該当する可能性がある「世話をしている家族がいる」と回答した子どもがおよそ16人に1人の割合でいることが明らかになりました。一方で、自分自身がヤングケアラーに該当すると答えた子どもは、およそ66人に1人の割合と、ヤングケアラーであることを自覚していない子どもが多い事実も明らかになっています。このため、山梨県では、子ども自身がヤングケアラーであることを認知し、子どもや大人に関わらず周囲の人々がヤングケアラーを理解し、連携して支え合うため、「気づいてつながろう山梨コネクトヤングケアラー」の取り組みを始めました。
プロジェクト内容説明
ヤングケアラーに気づくことが支援につながる?
山梨県では、昨年、全国で初めて「ヤングケアラー支援ガイドライン」を策定するなど、ヤングケアラーとその家族に寄り添った支援を展開しており、認知度の向上、ヤングケアラー本人への支援の充実、支援者の人材育成、包括的な仕組みの構築などを大きな柱として取り組みを進めています。
(1)認知度向上の取り組み
山梨県では、子どもから大人までヤングケアラーを理解できるよう、YouTubeやTikTokへの動画掲載、オンライン講座、学校訪問、カードの配布などにより啓発を強化しています。特に2022年1月にYouTubeに掲載した「山梨コネクトヤングケアラー」の動画は、吉本興業(株)所属の芸人が高校生に扮し、ヤングケアラーに気づいてつながることをコンセプトに、子どもがヤングケアラーを容易に理解し、ヤングケアラー自身のみならず、周囲の友人や先生がヤングケアラーに気づくこと、そして相談を後押しする取り組みとして制作しました。本年度は、新たな動画やテレビCMなどの展開により、各世代に併せた啓発活動を実施して参ります。また、一方的な発信型の啓発のみならず、元ヤングケアラー等が学校を訪問し、子どもの意見に耳を傾け、対話を通じる中で、ヤングケアラーへの理解を深めるための啓発活動を4つのモデル校で実施し、この取り組みを他校へも展開してまいります。
ヤングケアラーが気軽に相談できる場、支援の手が行き届く体制づくりに向けて
(2)ヤングケアラー本人への支援の充実
ヤングケアラーに寄り添い必要な相談支援につなげるSOSを出し、相談できる環境づくりとして、既存の電話・対面の窓口に加え、SNS相談窓口やヤングケアラー同士が共に話し合えるような場となるピアサポートの開設を行います。
(3)支援者の人材育成
「ヤングケアラー」への支援には、本人のみならず、ケアを受けている家族などを含め、さまざまな配慮が必要となることから、支援者をつなぐパイプ役となる「ヤングケアラー・コーディネーターの養成」、県全体のヤングケアラー支援のマネジメントの役割を担う「ヤングケアラー支援アドバイザーの配置」を行います。また、学校やサービス事業者など支援に携わる方が、ヤングケアラーを早期発見し、支援につなげていくための知識を習得するための研修を実施します。
(4)包括的な仕組みの構築
各関係機関が連携した支援を展開していくため、ヤングケアラー支援の目指すべき姿などを示すヤングケアラー支援計画の策定、具体的な連携手法などを示したガイドラインの充実、更には、支援者が集い、連携強化に向けた検討を行うヤングケアラー支援ネットワーク会議を年間を通じて開催します。
目指すところ
すべての子どもが夢に向かって挑戦できるやまなし~気づいてつながろう山梨コネクトヤングケアラー~
山梨県では、家庭の状況や育った環境に左右されることなく、全ての子どもが将来への希望や期待を抱き、その実現に向けて挑戦できる社会を実現するため、ヤングケアラーの子どもが家事や家族のケアをする中でも、子ども自身の権利を諦めることなく、子どもらしく暮らしていけるよう取り組みを進めております。「山梨コネクトヤングケアラー」では、全ての県民がヤングケアラーと呼ばれる子どもの存在を知り、理解していただき、身近に困っている子どもを見つけた際は、そっと声をかけたり、手を差し伸べられ、ヤングケアラーであっても、平等に必要な権利を持って過ごせるような社会を作っていくことを目指しております。
寄付の使い道
皆様からいただいたご支援については、下記の内容を中心としたヤングケアラーとその家族を支える取り組みを進めるためのプロジェクトに活用させていただきます。
・ヤングケアラー支援における様々な支援者をつなぐ中心的な役割が期待される「ヤングケアラー・コーディネーター」養成講座の実施
・山梨県内のヤングケアラー支援全体をマネジメントできる人材となるヤングケアラー支援アドバイザーの配置
・元ヤングケアラー等が学校を訪問し、児童生徒や教職員に対する啓発活動の実施
・既存の電話や対面窓口に加えた新たな相談窓口(SNS、ピアサポート)の設置
・県民がヤングケアラーへの理解を深めるための、テレビCM、YouTube、TikTok等を活用した啓発活動 など
自治体からのメッセージ
ご支援いただいた皆様へ
この度は、「気づいてつながろう山梨コネクトヤングケアラー」の取り組みにご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。山梨県では、すべての子どもが夢に向かって挑戦できるよう、全国的にも早くからヤングケアラーの支援に取り組んでおります。
本県のヤングケアラー支援の取り組みに一緒に取り組んでいただいている、元ヤングケアラーで、ヤングケアラー支援を手掛けられている一般社団法人ヤングケアラー協会代表理事 宮崎成悟様からもメッセージをいただきました。
一般社団法人ヤングケアラー協会 https://youngcarerjapan.com/
お礼品について
「山梨コネクトヤングケアラー」の取り組みを一緒に全国にも広げてください。
皆様への感謝の気持ちを込めて、10品ご用意した返礼品のうちの6品について、「山梨コネクトヤングケアラー」の取り組みを実感していただけるよう、(株)ヴァインヤード(所在地:山梨県山梨市)の協力のもと、本プロジェクトのロゴマークをあしらったお品を、ご準備させていただきました。
このうち5つのお品は、山梨県が世界に誇る農水産物を味覚で感じていただく中で、山梨コネクトヤングケアラーを応援していただきたいという想いを込めております。
また、プリザーブドフラワーは、本県在住のデザイナーがロゴマークをイメージして1つ1つ手作業で作った作品となります。視覚で感じて、山梨コネクトヤングケラーを応援していただきたいという想いを込めております。
ヤングケアラーへの支援は、本県のみならず、日本全国で取り組みが求められるプロジェクトです。本県の「山梨コネクトヤングケアラー」の取り組みが、「コネクトヤングケアラー」として全国に広がっていくよう、ロゴマークをあしらった商品をSNSなどを通じて周囲の方にぜひ伝えてください。
なお、お礼の品の発送は、1万円以上の寄付をいただきました山梨県外に在住の方に対し、送付しております。(山梨県内に在住の方は、ふるさと納税型寄付控除の対象となりますが、お礼の品の発送は行っておりませんので、予めご了承願います。)
事業スケジュール
通年:
ヤングケアラーへの理解、認知の向上、相談窓口の利用増に向けた動画やSNS等を活用した情報発信による啓発事業の推進
ヤングケアラー支援の連携体制構築に向けた支援計画の策定、一般県民、保護者への実態調査の実施、支援者を中心としたヤングケアラー支援ネットワーク会議の開催
2022年5月~2023年3月:
ヤングケアラー・コーディネーター養成に向けたコーディネーターの要件や役割等の定義の検討及び決定、研修内容検討、研修の実施
2022年7月~2023年3月:
山梨県内のヤングケアラー支援全体をマネジメントできる人材の設置に向けた検討、ヤングケアラー支援アドバイザーの配置
2022年8月~2023年3月:
元ヤングケアラー等が学校訪問し、児童生徒や教職員と、実体験やヤングケアラーをテーマとしたトークやディスカッションを行うための事業設計、モデル校の選定(県内4校)、モデル校の取り組みを元にした動画教材の作成
2022年8月~2023年3月:
新たな相談窓口設置に向けた検討、相談窓口(SNS、ピアサポート)の設置、事業実施状況の検証
ヤングケアラーとその家族を支えていくため、認知度の向上、ヤングケアラー本人への支援の充実、支援者の人材育成、包括的な仕組みの構築につながる取り組みとして、これまで実施してきた動画やSNS等による啓発活動や支援者間の連携を強化する「ヤングケアラー支援ネットワーク会議」の運営などに加え、新たに実施する「ヤングケアラー・コーディネーターの養成」、「ヤングケアラー支援アドバイザーの配置」、「学校を活用した元ヤングケアラー等による啓発事業」、「SNSやピアサポート窓口の設置」などを年間を通じて行ってまいります。