実施理由/背景
「つくり育てる漁業」の推進に向けて
日本最東端の街、水産都市根室。
近年、主要漁業であるサンマ、秋サケ、昆布漁などが極端な不漁に見舞われ、水産加工業をはじめとする関連産業はもとより、市中経済全体に大きな影響を及ぼしており、元気の源である浜に活気がありません。
では、減ってしまった水産物をどうやって取り戻そうか?
小さいものは獲らないようにしようとか、操業日数を減らそうとか、こうした資源管理のみならず、資源を減らさずに安定的に確保するには、私たちが適正な値段で水産物を購入し、がんばる漁師さんを支えることがとても重要な取組みです。そのためにも、先ずは、その漁師さんが獲ってくる水産物を自分たちでつくり育てることも有効な手段となります。
プロジェクト内容説明
水産都市ねむろの挑戦
当地域の水産資源は必ずしも高い水準にあるとはいえず、将来において安定した生産量を確保するためには、沿岸資源の持続的な利用に向けた生産体制の構築が必要です。
根室市のホタテ貝の生産拡大に向けた取組みは、ホタテ稚貝を放流するところから始まります。根室湾の特性として、放流する稚貝を自前で生産することが難しく、他地区から購入しなければなりません。そして、私たちが食べるサイズにまで成長するのは放流から3年後です。
その育成期間においては、漁師さんたちは定期的に船に乗って海へ出て、外敵であるヒトデの駆除も行います。自然の力も借りつつ、そうした手間暇をかけて育てた根室産ホタテ貝は、極寒の海、流氷の下でたっぷりの栄養を蓄えた海の宝物となります。
つくり育てる漁業プロジェクトでは、ホタテ貝の養殖事業をはじめ、カニやウニ等の生態調査・研究も進めていき、根室の美味しい魚介類を何時でも安心して食べられるよう、そして、いつしか皆さんに還元できる日を期待しながら、根室の水産、根室の漁業者を支えていきます。
目指すところ
安定的な生産拡大に向けて
根室市では、沿岸漁業における主要水産物の生産拡大を図るため、2021年4月より「つくり育てる漁業」プロジェクトを展開しています。
特にホタテガイは沿岸漁業振興の柱として進めており、ホタテガイの生産に適した新たな漁場を造成するため、根室湾海域での海底地形探査や底質状況などの事前調査などを行ってきました。
現在は、海域の特性に合った「放流・育成管理・漁獲」までの一連の生産サイクルを構築させるとともに、将来にわたり、安定的かつ生産拡大による経営の安定を目指した「つくり育てる漁業」を推進するため、クラウドファンディング型ふるさと納税プロジェクトとして根室におけるホタテ貝の生産拡大に取り組んでいます。
寄付の使い道
いただいたご寄附は、全額「根室市ふるさと応援漁業資源増大対策強化基金」へ積立てし、沿岸漁業振興の目的に沿い、ホタテをはじめとする他の水産資源にかかる「つくり育てる漁業の推進プロジェクト」へ活用させていただきます。
自治体からのメッセージ
北海道根室市について
北海道の東端に位置し三方が海に囲まれており、沿岸には花咲ガニ・エゾバフンウニ等多種多様な水産生物が数多く生息。
豊かな自然環境は野鳥の宝庫としても知られ、毎年全国各地から多くの方がバードウォッチングに訪れています。
また、食や自然のアクティビティだけではなく、JAZZの街・根室を推進するなど、多面的な魅力を有しているまちです。
事業スケジュール
令和6年4~6月 ホタテガイの漁獲・ホタテガイ漁場のヒトデの駆除
令和6年4~6月 ホタテガイ稚貝の放流
令和6年6~10月 ホタテガイ漁場周辺のヒトデの駆除
令和7年6~10月 ホタテガイ漁場周辺のヒトデの駆除
令和8年4月以降~ 令和6年4~6月に放流したホタテガイの漁獲
根室市のホタテガイ漁場やその周辺は、ホタテガイの天敵であるヒトデが多く生息しているため、ホタテガイの生産性を高めるためには、稚貝放流前の漁場や稚貝放流後の漁場周辺のヒトデの駆除が、必要不可欠です。そのため、根室市のホタテガイ漁業の生産サイクルは、「ホタテガイ漁場のヒトデの駆除(ホタテガイの漁獲とともに)」⇒「ホタテガイ稚貝の放流」⇒「ホタテガイ漁場周辺のヒトデの駆除」⇒「ホタテガイの漁獲(ヒトデの駆除とともに)」となります。
令和6年4~6月、2~3年前に放流したホタテガイを漁獲するとともにホタテガイ漁場のヒトデを駆除します。
令和6年4~6月、ヒトデを駆除したホタテガイ漁場へホタテガイ稚貝を放流します。
令和6年6~10月及び令和7年6月~10月、ホタテガイ稚貝を放流したホタテガイ漁場周辺のヒトデを駆除します。
令和8年4月以降、令和6年4~6月に放流したホタテガイを漁獲します。